12星座の神話とは
伝説といっても神話学者の説によると、神話の中に出てくる逸話はすべて古代人の体験談であり、オリンポスの神々や英雄たちもみな実在の人物であったということです。星座にまつわる伝説はギリシャ神話だけでなく、中東諸国や北欧にも数多くあるし、日本にもあります。といってもギリシャ神話には、88の星座のうち50以上が登場します。
占星術は、バビロニアからペルシャを経由してギリシャに伝わり、そこでギリシャ神話と結びついていったと考えられます。12星座の持つそれぞれの性質や意味も、深い部分で神話伝説とつながりを持っています。
牡羊座の神話
テサリアという国の王アマタスに、プリクソスとペレーという二人の子供がいました。この兄妹は、継母のイーノーに邪魔者扱いにされていたが、あるとき、ついに兄のプリクソがイーノーの計略で神の生贄にされそうになりました。それを知って生母のネペペレー(雲の精)は、空を飛べる金色の羊を使ってプリクソスとペレーを救い出しました。
兄妹を背にのせた金色の羊は、まっしぐらに空を飛び、ヨーロッパとアジアの境にある海峡の上まできた時、妹のペレーはめまいを起こし、羊の背から海に転落してしまいました。呆然とするプリクソスを慰め、励ましながら、羊は飛び続け、コルキスの国にたどり着いた賢く勇敢な羊が星に変身して牡羊座になったといわれています。
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牡牛座の神話
牡牛座の神話には2つあって、1つは、好色で浮気者な全能の神ゼウスが、ある日天上からポエニキアの国を眺めていると、牧場に一人の美女が遊んでいるのを見つけました。それは
ポエニキア法の一人娘エウロパでした。一目ぼれしたゼウスは、白い牛に姿を変え、エウロパに近づきました。そうとは知らないエウロパは、美しい白牛の頭をなで、やがてその背にまたがりました。その途端、牛は脱兎のごとく走りだし、エーゲ海を泳ぎ渡り、クレタ島を経てヨーロッパにたどり着き、ゼウスに愛されたエウロパは、その地で生涯を過ごしました。
もう1つの神話は、この牛は実は牝牛であり、王妃ヘーラの神殿に使える巫女イオが変身したもので、ゼウスと密通を重ねる巫女のイオに誇りを傷つけられたヘーラ王妃がイオを牡牛に姿を変えてしまったという説です。その牛を象徴するこの星座は、牡牛座と呼ばれながら、女性星座に属しています。
双子座の神話
この星座の前身は、その名の通り双子の兄弟です。父親はゼウスだが、母親はスパルタ国の王妃デ、ギリシャ神話の中でも絶世の美女として知られるレダです。二人の名はカストルとプルックスといい、カストルは馬術の名人、ボルックスは剣の達人で、二人はいつも一緒に線上を駆け巡り勇名をはせました。この兄弟が天に上った姿が双子座で、その頭の部分に輝く二つの一等星は、今でもカストルとプルックスの名で呼ばれています。
蟹座の神話
蟹座にまつわる神話は、あまりロマンチックなものではありません。物語に登場するのは、ゼウスの子でギリシャ随一の英雄のヘラクレスです。ヘラクレスは、その生涯に12の大業を成し遂げましたが、その二番目の「レルネア谷の怪蛇ヒドラ退治」が、蟹座のエピソードとなっています。
嫉妬深い王妃ヘーラの悪巧みに乗せられて、ヘラクレスは9つの頭を持つと言われる大蛇ヒドラを退治に出かけました。そのときヘーラが遣わした蟹が現れヘラクレスの脚をはさみましたが、結局ヘラクレスに踏みつぶされてしまいます。この化け蟹が天に昇って蟹座になったと言われています。
獅子座の神話
獅子座の神話もヘラクレスの武勇伝にまつわるエピソードです。ヘラクレスの第一番目の大業の一番目の「ネメアの森の人食いライオン退治」です。ネメアの森に不死身といわれる人食い獅子がいて、魔性の怪物と恐れられていました。ヘラクレスはこの荒獅子に立ち向かい、苦労の末その獅子を退治し、その皮をはぎ、生涯身に次肩と言われています。そして、その荒獅子が獅子座の由来となっています。
乙女座の神話
乙女座の前身については、農業の女神デーメーテルたというのと、その娘で冥界の王プルートの妃となったペルセフォネだという二つの説があります。乙女座の姿は、天使のような翼をもった女神が麦の穂を手にしたものですが、その翼はペルセフォネのものだし、麦の穂はデーメーテルをシンボライズする物なので、この母子の女神の複合体だと考えても良いでしょう。乙女座の神話は、七夕の星ベガ(織姫)とも関連がある長い話ですが、正義感の強いペルセフォネは、現代社会の俗悪さを憎み、その翼をはばたかせて天に昇ってしまったというのが神話のエピローグです。
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天秤座の神話
天秤座の前身は、正義の女神アストレアで、彼女は人間の善悪を判断する裁判官の役目も務めていました。この星座のサインは、アストレアが正邪を図るために使った秤をしょうちょうしたものといわれています。ギリシャ神話による人間界の黄金時代、人々は平和な暮らしを営んでいたが、やがて堕落に時代がはじまり、悪がどんどんはびこりはじめ、善悪をはかるアストレアの秤悪の方に傾きっぱなしとなってしまいます。そして、神々は絶望して天に昇ってしまい、最後まで踏みとどまってアストレアも、遂に諦めて天に舞い戻ってといわれています。
蠍座の神話
この星座の神話には、美しい三連星と知られるオリオンが登場する。オリオンは海神ポセイドンと女傑国アマゾンの女王エウリアレとの間に生まれた美男子で、比類なき勇者でもありました。ところが、素行が悪く粗暴な振る舞いが目立つため、オリンポスの神々の憎しみをかいました。なんとか彼を懲らしめようとしたが、非常に強く誰も手が出せませんでした。そこで王女ヘーラが一計を案じ、一匹の毒蠍にオリオンを倒す役を命じました。蠍はオリオンの足もとに忍び寄り、その鋭い毒針を踵に刺し一撃のもとに倒しました。その功績により蠍は天に昇って星座となり、オリオンもまた美形の星座となりましたが、星になったからも蠍を恐れ、蠍座が東の地平線に現れる頃、オリオン星座は西方角に沈んでしまいます。
射手座の神話
射手座の前身は、上半身が人間で家は心が馬の姿をした漁師族、ケンタウロス一族の患者ケイロンで、優れた学者でもありました。この星座のエピソードにもヘラクレスが登場します。4番目の「エリュマントスの猪の生け捕り」に赴く途中、ケンタウロス一族と仲たがいを起こしてしまいます。その結果ヘラクレスは、かつて自分の科学と哲学の師であったケイロンを毒矢で殺してしまったのです。このケイロンが星座に変身した姿が射手座です。
山羊座の神話
山羊座の前身は、ギリシャ神話の中で牧羊神として親しまれているパンである。ただしこの星座の姿は、上半身が山羊で下半身は魚という奇妙に形をしています。そのエピソードは、ある日、ゼウスをはじめとする神々が、ナイル河の岸辺で酒盛りをしていました。パンもその仲間に入って、得意の牧笛をふいていました。その時突然、怪物ティポンが現れ、宴会に乗り込んできました。神々はあわてふためいき、大急ぎで鳥や獣や魚に変身して逃げましたが、パンはあまりに慌てたため、情本心が山羊で下半身が魚という変な姿に化けてしまったのです。
水瓶座の神話
この星座の前身は、トロイ王国の基礎をつくったトロースの子ガニメーデで、どんな美女にもまさる美貌をそなえた賢い少年だったと言われています。好色で男色趣味も持っていたゼウスの目に、この美少年の姿が映りました。ゼウスは一羽の大鷲に姿を変え、トロイの国からオリンポスの山頂にガニメーデをさらってしまいました。そして酒童としていつもそばに置く代わりに、この少年に永遠の若さと美貌を与えました。この少年が星になったのが水瓶座で、彼が手にする水瓶の中に、神々の叡智の源泉となる水が、いつも満々とたたえられていました。
魚座の神話
この星座の姿は二尾の魚からなり、その前身は、愛の女神アフロディテと、その子エロスです。愛の女神が魚にならなければならなかった理由は、山羊座のエピソードと一緒で、ナイル河のほとりで酒宴を催していた神々の中に、この母子の女神もいました。ティポンという名の怪物の登場で、アフロディテとエロスも二尾の魚に姿を変えて、ナイル河に飛び込みました。しかし、お互いに離れ離れにならないように、リボンでお互いの尾を結びつけたのでした。二尾に変身したアフロディテとエロスが、天に昇って星座になったのが、尾をリボンでしっかり結んだ魚座だといわれています。
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